Authors
藤本勝成, 高萩栄一郎, 成川康男, 本田あおい
Publication date
2021/10/15
Journal
システム/制御/情報
Volume
65
Issue
10
Pages
426-432
Publisher
一般社団法人 システム制御情報学会
Description
日々の決定局面においては,“好きか嫌いか”,“良いか悪いか” などに基づいて比較・検討をしていると考えることは自然であり, むしろそれを数値に変換して比較・検討していると考えることは, 不自然であるといえる. しかしながら, いわゆる 「意思決定理論」 においては, これらを効用値という形で数値化して議論している. これは, 数値化することによって, 統計的手法や最適化手法が利活用できるようになるからに他ならない. 一方で, この数値化自体が, モデル設計者の経験や能力に大きく依存していることも否めない. 連載 5 回目の今回は,「順序しか判らない世界での統合評価」, つまり, 優劣しかつけられない状況で, どのように統合評価を考えていけばよいのかについて概観していく.
本稿においては, 連載 I~ IV 回で扱ってきたような数値 (効用関数) を基本としたモデルを基数モデルとよび, 順序・優劣 (選好順序) を基本としたモデルを序数モデルとよぶ. 今回は, この 「序数モデル」 を中心に概観していくことになる. 以下, 第 2 節では, 非加法的測度を用いた基数モデルの多基準意思決定問題への適用法・適用例について概観し, これと比較する形で, 序数モデル (特に, 菅野積分モデル) について述べていく. 第 3 節では, 菅野積分の数学的性質やその特徴について述べ, 第 4 節では,“研究者の論文公刊に関する評価指標” を非加法的測度の観点から概観する. また, 実数 (整数) 全体の集合を R (Z), 非負の実数 (整数) 全体の集合を R+,(Z+) と書くことにする.
Scholar articles
藤本勝成, 高萩栄一郎, 成川康男, 本田あおい - システム/制御/情報, 2021