Authors
Misato Ogasahara, Alexander R Cobb, Rahayu S Sukri, Faizah Metali, Koichi Kamiya
Publication date
2022/5/30
Conference
The Japanese Forest Society Congress 133rd Annual JFS Meeting
Pages
378
Publisher
The Japanese Forest Society
Description
ボルネオ島北部の泥炭湿地林で優占する Shorea albida は, 伐採等により集団サイズが減少しており, 効果的な保全には遺伝的情報が必要である. 本研究では, ブルネイの S. albida 11 集団・166 個体について, 18 のマイクロサテライト領域の遺伝子型を決定し, 遺伝的多様性や遺伝的構造を評価した. ヘテロ接合度の期待値は種全体で 0.402 となり, 先行研究の同属種に比べて低い値を示した. BOTTLENECK 解析では過去の集団拡大が沿岸の 7 集団で検出され, 約 5000 年前に形成された泥炭湿地に少数個体が移住後, 集団サイズを拡大させたことを示唆した. また, S. albida は北ボルネオに固有で集団サイズが小さいため, 遺伝的多様性の低さは創始者効果と分布域の狭さに起因すると考えられる. さらに, STRCUTURE 解析から 2 集団 (Ingei, Labi Road 3) が他の集団と遺伝的に異なることがわかった. これは, Ingei は内陸に位置し, Labi の一部地域は高標高であるため, 氷河期の海水準変動の影響が小さく, レフュジア集団として維持されてきたことに起因すると考えられる.
Scholar articles
M Ogasahara, AR Cobb, RS Sukri, F Metali, K Kamiya - The Japanese Forest Society Congress 133rd Annual …, 2022